無断転載、台本の再配布、自作発言、収録した音声を販売等はしないようにお願いいたします。
使用する際、サイトへのリンクやクレジット表記をしていただけると嬉しいです(必須ではありません)
演技の指定はありませんので、自分なりに自由に演じてみてください。
再会は天国で / 作:小宮真央
リズ…A国在住。誰も傷つけたくない。話し合いで理解できるのではと思っている
ティッカ…B国在住。戦争に犠牲はつきもの。話し合いでは解決できないと思っている
A国・B国は仲の良い国同士だったが、お上の方針により突如として戦争が勃発。
同い年のリズとティッカの二人は戦争に駆り出される前に人目を盗んで会うことを決めた。
国境を跨ぐように生えている大木を挟んで語り合うシーン。
リズ:ねぇ…話し合いでなんとかならないのかな?
ティッカ:無理だろ、話し合いなんて。
リズ:どうして?だって、今までは仲良く暮らしてたんだから、話し合えばきっと分かり合えるよ。だって、こんな気持ちのいい青空なんだ。みんなで空を見上げてさ、寝っ転がって…最高の1日じゃないか。
ティッカ:それがうまくいかなくなったから、今があるんだ。今まではそうだったかもしれない。でも今は違う。そうだろ?
リズ:国同士の諍い(いさかい)なんて愚かだよ。無駄でしかない。なんで殺し合う必要があるのさ。
ティッカ:そんなの、国民ほぼ全員がそう思ってるさ。
リズ:じゃあ、どうして戦争が起こるの?みんなが無駄って思ってるのに。
ティッカ:上に逆らえないからだろ。逆らえるものなら逆らってる。俺だってそうだ。
リズ:…なら!一緒にこんなのおかしいって声をあげようよ。こんなの馬鹿馬鹿しいから、やめようって!
ティッカ:だから、そんなの出来るなら最初からやってるよ。やったってしょうがないんだ。
リズ:どうして!?やってみなきゃわからないじゃないか!!
ティッカ:うるさいな、上が決めたことなんだ、しょうがないだろう!?自分達が何を言ったって、変わりやしない!!!下手したら、俺もお前も殺されるだけなんだ!!俺は…俺は、リズが殺されるのを見ていることしかできないなんて耐えられない!!
リズ:…っ!……ごめん
ティッカ:…いや、俺も声を荒げるべきじゃなかった。ごめん
リズ:僕だって…僕だって、ティッカに死んで欲しくない。絶対生きてて欲しいよ。だからこそ、今声を上げる必要があると思ったんだよ。
ティッカ:それは無理だ。だから俺はここに来た。
リズ:え?…ティッカ?どうし…
ティッカ:ごめんな。
リズ:え、えっと…何?なんで謝るの?この手、何?
ティッカ:お前が殺されるのを見ていることしかできないのは、嫌なんだ。だから、いっそ俺の手で…
リズ:え?いや、冗談きついって。はは…やめてよ、笑えないよ。
ティッカ:ごめん。
リズ:…ちょ、痛いよ。離して。
ティッカ:ごめん…ごめん、リズ…恨んでくれて構わない。
リズ:……ティッカ。恨んだりしないよ。最後に、少し話してもいい?
ティッカ:…あぁ。
リズ:僕、君に会えてよかったと思ってるよ。覚えてる?出会ったばかりの頃、二人で協力して毛皮を高く売って、そのお金で普段買わないような高いお菓子を買った時のこと。木の上で見つからないようにこっそり食べてたけど君の妹に見つかって「お母さんに黙っててあげるから私にもお菓子を分けなさい!」って可愛く脅されてさ。あはは、すごく楽しかったなぁ。
ティッカ:懐かしいな…あの頃はこんなことになるなんて、思ってもみなかった。
リズ:…天国で、また笑って暮らそうよ。先に行って待ってるから、絶対来てね。
ティッカ:俺は…!俺は親友を手にかけるんだぞ。地獄行きだよ、リズの元へは行けないよ…
リズ:そんなわけないよ。ティッカが誰より優しいのは、僕がよく知ってる。先に行って、神様に伝えておくよ。絶対にこっちに来させるようにって。安心して。
ティッカ:はは。リズはいつも夢見がちだな。
リズ:夢になんかさせるもんか。現実にしてみせるよ。ま、生きてるうちは、叶わなかったけどさ。
ティッカ:わかったよ。ありがとう。また後でな。
リズ:うん。また後で。